RESEACH

高齢化社会が進む中、ポストゲノム時代の到来で、
医療分野の伸展や関連する新規産業の創出が大いに望まれている。
これを解く鍵は生命科学と情報科学の融合である。

本研究室では、こうした時代背景や社会要請に答えるために、
生命情報として、
特に、(1)脳波と(2)遺伝子に着目した研究を行っている。


(1)脳波を利用したBCIの研究

BCI(Brain-Computer Interface)とは、脳(ニューロン)の活動を入力信号として、 何かを操作する制御信号に変換する仕組みを指す。 本研究室では、脳活動として脳波を利用し、 動作(例えば、左手あるいは右手を握る)イメージをした時に測定された (単一試行)脳波にICA(independent component analysis: 独立成分分析)と ECDL(equivalent current dipole source localization: 脳内等価電流双極子推定) を適用し、得られた推定結果からイメージした手の左右を識別する学習モデルを構築し、 新たに測定された脳波からイメージした手の左右を予測する。 こうして、声や身振りを使わなくても、ただ“頭で考える”だけでコミュニケーション が可能になり、ロボット操作などへも応用できる。 現在、学習モデルとして数量化分析Ⅱ類とBayesian Network Modelを利用している。 将来的には、脳活動の時間変化を考慮したDynamic Bayesian Network Modelへ拡張する。
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(2)Gene setsに着目した遺伝子発現解析

DNAマイクロアレイ技術の発展および普及により、 一度の数千から百万に及び遺伝子の発現を解析できるようになり、 診断や(予後)予測のためのclassifiers構築の研究が盛んである。 しかしながら、病気の複合化によりclassifiersの予測精度は未だ実用化レベルとは言い難い。 近年、統計学的にあるいは事前知識を利用して、 共通した昨日に関与するgenesの集まりを1つのgene setと捉え、 このgene setsの組み合わせによりclassifiersを構築しようとする試みがなされつつある。 本研究室では、医療機関との共同研究を通じて、ICAと知識DBの活用に基づいて gene setsを選抜し、クラスタリングやプロビットモデルによるclassifiers構築 を行っている。今後、疾患サブクラス分類への適用、 将来的にはBayesian Network Modelによる疾病メカニズムのモデル化で 個別化医療や創薬に役立てたいと考えている。