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ヘムオキシゲナーゼを応用したバイオヘムセンサー及び新規ヘム定量法の開発

〒820-8502
福岡県飯塚市川津680-4研究棟W703, W704

mail: sakakanbio.kyutech.ac.jp

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〇私たちの研究

生命に必須な色素として知られるヘムは、主にヘム蛋白質の補欠分子族として存在しますが、一部のヘムがアポ蛋白質に取り込まれずに遊離状態で存在しており(遊離ヘム)、転写や翻訳、蛋白質輸送、microRNA活性化などに関与する生理活性物質としての役割を有することが明らかとなってきました。一方で、癌やアルツハイマー病などのメカニズムおよび治療法を理解する医学分野の研究において、遊離ヘムが疾患発現の原因物質となりうるという報告例があります。それゆえに近年、細胞内の遊離ヘムの動態を解明する研究に注目が集まっています。しかし、既存のヘム定量法(ピリジン-ヘモクロム法など)は、操作が煩雑で検出感度も低いなどの課題があり、細胞内遊離ヘム濃度の分布や変化を正確に知ることは困難です。また、細胞内におけるヘムの挙動を直接モニターする方法はありません。
そこで私たちは、ヘムと特異的に結合し、かつ高い親和性を示すヘムオキシゲナーゼ(HO-1)を応用したバイオヘムセンサーの開発を行っています。一例として化学修飾型HO-1は、遊離ヘムと結合すると蛍光強度が変化するように分子設計されており、nMオーダーの遊離ヘムを迅速に検出することができます。(特許2009-129822 特許第05761660号)したがって、細胞内や生体組織中に含まれるヘム量、あるいは遊離ヘムのみを定量するための手法として利用できると考えています。もう一例として蛍光団の代わりに蛍光蛋白質をHO-1に融合させたHO-1は細胞内へ導入することで、将来的には遊離ヘムの蛍光イメージング解析が可能になると考えられます。さらに、これらのバイオヘムセンサーを用いたin vitroヘム定量法を確立し、新規のヘム分析キットの開発や医療診断技術への応用を目指しています。
管理人 吉村崇志